グルタミン酸受容体と糖鎖

2)グルタミン酸受容体と糖鎖  神経系は正確な神経回路が構築され、学習記憶などの脳の高次機能が発揮されます。しかし、その構造は普遍的なものではなく、外界からの刺激により変化しうる可塑性と呼ばれる柔軟性を持っています。グルタミン酸受容体のうちAMPA受容体は、興奮性シナプス伝達において中心的な役割を担う受容体であり、シナプス膜上での存在量は神経伝達効率に大きな影響を与えることが知られています。神経可塑性はシナプスにおける伝達効率の変化として考えられ、シナプス後部へAMPA受容体の新たな挿入が、神経可塑性と深く関わっていると考えられています。私たちはAMPA受容体の細胞内輸送や細胞表面発現量の調節に糖鎖がどのように関与しているのかを解析し、神経可塑性における糖鎖の役割を明らかにしようとしています(図3)