神経特異的糖鎖の機能解析
１）神経特異的糖鎖の生合成機構と機能解析 神経系には特徴的な発現様式を示す糖鎖が多く発現しています。その中でもHNK-1糖鎖と呼ばれる糖鎖を中心に研究を行っています。HNK-1糖鎖はHNK-1抗体によって認識される糖鎖抗原で糖鎖の末端に硫酸化されたグルクロン酸を持つ特徴的な糖鎖です（図１）。私たちの研究室ではHNK-1糖鎖の生合成に関与するグルクロン酸転移酵素(GlcAT-PとGlcAT-S)や硫酸基転移酵素(HNK-1ST)のcDNAクローニングに成功しています（図１）。このcDNAを用いてHNK-1糖鎖の生合成機構を明らかにしようとしています。例えば、HNK-1糖鎖の生合成に関与する酵素が細胞の中に存在していたとしても、あるタンパク質はHNK-1糖鎖の付加を受け、あるタンパク質は付加を受けません。このようなタンパク質特異的なHNK-1糖鎖付加機構を明らかにしたいと思っています。また機能に関しては、HNK-1糖鎖を欠損させたマウスを解析した結果、HNK-1糖鎖が学習や記憶等の脳の高次機能に重要な役割を担うことを明らかにしています。現在、HNK-1糖鎖がどのような分子機構での脳の高次機能を調節しているかについて、特にスパイン形成における役割について解析を進めています（図２）。
